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謙虚にして柔軟に
筆者の30代に銀行の得意先係りでの苦い経験がありました。担当替えで2ケ月も経っていなかった。製缶業を営む典型的な町工場である。オーナー社長に呼ばれたので机の前で挨拶した。机にはテープレコーダーがあり、客とのやり取りを記録するものだった。「頼みがあるのだけれど、銀行の貸付利息計算書を白紙で欲しい。儲かって困るから」と言われた。貸付利息計算書とは銀行にとっては売上の領収書の発行にあたる。企業にとっては営業外費用の領収書になる。当時は貸付の利息計算書は未だ手書きであった。筆者は「ご冗談でしょう。・・・銀行はそれは出来ません。脱税に加担することも出来ません」と即座に答えた。予想もしない質問に緊張が顔に現れていたのです。帰店すると「支店長席」に呼ばれ「社長へ失礼なことを言っただろう」と言われ、「何が?」と私は思った。無理難題を押し付け、私の言動を「テープ」にとって、それを話のネタにすることは分かっていた。ベテランの係長へ聞いたら「笑顔で、先ずテープレコーダーのスイッチを切り、私は白紙の利息計算書を持っていません。ご希望なら支店の窓口までお越しになって、担当の女子事務員へ頼んで見てください。と冗談ぽく言うべき」と、柔軟に対応するよう教えてくれた。私は直ぐにその会社の担当をはずれた。その社長はその後数年もせずに亡くなった。

世の中にはいろいろな人がいます。特に商談においては、「できること」は出来る。そうでなければ「ノー」という。条件を変えれば出来そうなときは「よく検討して後日にご返事を」と前向きな姿勢を見せることも必要です。
安請け合いは後で禍根を残しますから、話の内容を良く聞いて、無理だなと思えば、「それは無理です」と率直に言うことも必要です。人によっては「試す」意味で難題を持ちかけている可能性もありますので、安易に引き受ければ後で取りかえしができなくなります。明確な回答も話のポイントの一つです。

内容が分からずそのまま話が進む場合があります。そんなときには相手は、あなたがよく分かっていないことが内容から汲みとり、「背伸びしている」「知ったかぶり」だなと理解していないことに気づきます。そんなときには、謙虚に「もう少し詳しく教えてください」と頼んでみることも必要です。あなたが謙虚ならば相手は「では教えてあげよう」と気分よく話してくれるでしょう。

営業マンの駆け引きは「知ったかぶり」は無責任さを表わし、いい成績は残せません。正直に謙虚で柔軟に対応する人が信頼を得られ、多くの情報を得られて成功します。